近年、オンライン教育の1つとして、メタバースを活用した学習方法が注目されています。メタバースを利用することで、従来のWeb会議ツールのデメリットである「コミュニケーションの取りづらさ」が解消できます。
そこで今回は、メタバースの概要や教育に活用するメリット・デメリット、活用事例などを解説します。メタバース導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
メタバースとはアバターを通じて、オンライン上で人と人が繋がる仮想空間のことです。アバターは、オンライン上に存在する自分の分身です。メタバースではアバターを介して、オンライン上で自由に行動ができます。
メタバースが注目されている背景には、新型コロナウイルスの影響で外出規制されたことがあります。現実世界で外出できない中でも、メタバース内では自由に行動が可能なため、注目されました。メタバースではアバターを使って人とコミュニケーションをとれるため、会議や教育に導入されるようになりました。
メタバースはZoomなどのWeb会議ツールと異なり、常時コミュニケーションをとることができます。Web会議は相手と時間を決めて回線をつなぎますが、メタバースはアバターを常にメタバース内に存在させることができるため、会議の時間に限らず接触が可能です。
メタバースを教育で利用するメリットには、以下のようなものがあります。
ここからは、具体的な内容を確認していきましょう。
メタバースを利用すると、遠くに住んでいる生徒ともコミュニケーションがとれます。なぜなら、オンライン上のアバターを介してやり取りをするからです。メタバースを利用できるインターネット環境さえあれば、どれだけ離れた距離にいても、現実世界と同じようにコミュニケーションがとれます。
海外に住んでいる生徒ともコミュニケーションが取れるため、授業の中で文化交流なども実施できます。文化交流によって、新しい価値観や文化に触れることが可能です。
メタバースを利用することで、遠くに住んでいる生徒や本来なら出会えなかった人とコミュニケーションを容易にとれるようになります。
メタバース内でアバターを通して、体験学習が可能です。理由は、アバターを使ってアクションを起こせるからです。例えば、「行く」や「触れる」などのアクションが起こせます。
具体的には、化学の実験をオンライン上で行うことなどが可能です。体験することで、受動的ではなく、能動的に学習ができます。アバターを通して体験学習をすることで、学習したことが身につきやすくなる効果が期待できます。
メタバースでは、現実世界でできないような疑似体験ができます。なぜなら、メタバースはバーチャル空間だからです。
例えば、歴史の勉強で、過去に戦争のあった場所に行けます。現実世界で見ることはできませんが、戦争の悲惨さをアバターとして体験できます。アバターとしての体験のため、危険性はありません。
このように、現実世界では体験不可能なことも、メタバースであれば疑似体験できます。実際に体験したかのように感じるため、学習内容も印象に残りやすいです。
メタバースを教育で利用するデメリットは、次の3点です。
では、一つずつ確認していきましょう。
メタバースは、導入に費用がかかります。独自のメタバース空間をつくるには制作費用がかかり、運用には月額がかかることもあります。メタバースを最初から構築すると、数百万円以上の費用が必要になることが多いです。
メタバースにはVRをみるために専用のヘッドセットが必要なものもあり、生徒全員分のヘッドセットを購入するとなると大きな費用がかかります。一方、既に持っているスマホやPCで手軽に学習できるものもあります。
導入に費用がかかるため、予算や用途に合わせて、導入するシステムを慎重に検討しましょう。
まだメタバースで利用できるコンテンツは少ないため、教育のすべてをメタバース空間で行うのは難しいです。なぜなら、メタバースはまだ発展途上だからです。
教育で扱うテーマに合ったコンテンツがない可能性があります。しかし、メタバースは今後さらに成長すると想定されています。総務省が令和4年に発表している仮想空間市場の動向によると、メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されています。
参考:総務省 第2部 情報通信分野の現状と課題 10.仮想空間市場など
市場の拡大に伴い、今後さらにメタバースの教育コンテンツが増えていくことが予想されますが、現時点では利用できるコンテンツが少ない点がデメリットです。
メタバースの利用によって、VR酔いの可能性があります。VR酔いとは乗り物酔いのようなもので、酔うとめまいや吐き気、不快感などの体調不良を感じます。
VR酔いは、現実世界での刺激と異なる刺激が起こることにより、「脳や自律神経が混乱する」ため起こるといわれています。メタバースでは視覚だけで情報を知覚するため、他の感覚とのずれが生じます。この他にも原因は諸説あり、明確な原因は突き止められていません。
VR酔いには個人差がありますが、長時間メタバース空間にいると起きる可能性が高いです。VR酔いがある場合はこまめに休憩をはさむなど、工夫が必要です。
実際に、メタバースはどのように教育に活用されているのでしょうか。英会話教室や大学、高専など教育への活用事例を紹介していきます。
英会話教室「イーオン」では、メタバースで英語を学べる「AEONVR」を提供しています。生徒は自宅や職場などさまざまな場所からメタバース空間にアクセスし、アバターを介して授業を受けます。
「AEONVR」は米カリフォルニア州のImmerse Inc.のVR言語学習プラットフォーム「IMMERSE(イマース)」を利用しており、イマース上の約40のシーンを巡りながら、レッスンが可能です。シーンには海外旅行や海外生活の様々な場面があり、場面に合った英語をタスク形式で学べます。英語を学習した後、現実世界で使用する機会が無い人であってもメタバース上で実践力を磨くことが可能です。
参考:こどもとIT
アメリカのスタンフォード大学では、授業のほぼすべてでVRを利用する「VirtualPeople」というコースが開始されました。VRヘッドマウントディスプレーを利用することで、より直感的に学習できるようになりました。
例えば、VR内での課外学習で、人種差別に直面した男性の人生を疑似体験できるコンテンツがあります。今までは想像で学習してきたテーマも、メタバースの活用により、より身近な出来事として感じることが可能です。
参考:ダイアモンドオンライン「メタバース」がもたらす教育方法の大転換とは
長岡工業高等専門学校では、メタバースを活用したバーチャルキャンパスを提供しています。キャンパスにはラウンジやセミナールーム、グループワークルームなどがあり、現実世界と同じように部屋分けされています。
キャンパス内で利用するアバターは自分でカスタマイズできるため、オリジナルのアバターで人とコミュニケーションをとることが可能です。イベントによっては全国の学生や一般の人も利用できるため、さまざまな人とディスカッションが実施できます。
参考:長岡工業高等専門学校 HOW TO USE WHITE LAB
メタバースは自分の分身であるアバターを介して、オンライン上で人と繋がれる仮想空間です。Web会議ツールと異なり、常時コミュニケーションがとれます。
教育にメタバースを活用すると、距離の離れた場所にいる生徒とコミュニケーションがとれます。また、オンライン上でアバターを利用して行動するため、体験学習や現実世界で体験できないような疑似体験をすることが可能です。
メタバース導入のデメリットは、費用がかかる点とまだ利用できるコンテンツが少ない点、VR酔いの可能性がある点です。しかし、これらのデメリットは今後メタバース市場が拡大すれば解消されることでしょう。
メタバースは現在すでに、スタンフォード大学や長岡工業高等専門学校などの教育機関で活用されています。
教育にメタバースを活用したい方には、Remoのツールがおすすめです。Remoは、世界中のさまざまな教育や研究の現場で利用されている交流促進型のメタバース空間です。
Remoのバーチャルスペースでは、オフラインの学校や塾と同じように双方向コミュニケーションがとれます。具体的には、生徒から先生に気軽に話しかけたり、先生が教室を見回ったりなどといったアクションが起こせます。スペースにはクラスメイトや先生がおり、いつでも話しかけることが可能です。
教育機関側のメリットとしては、オンライン授業であっても対面授業のように生徒に参加させながら授業が進められる点です。クラス全体への講義のみならず、生徒をあてて答えさせたり、グループディスカッションをさせたりできます。
メタバースを活用した教育に興味をお持ちの方は、ぜひRemoまでお問い合わせください。